『ビーキーパー』感想:正月はステイサム!

新年一発目の劇場映画鑑賞はジェイソンステイサム主演の『ビーキーパー』を見てきた。去年の一発目は『エクスペンダブルズ:ニューブラッド』だったからなんと二年連続で正月からジェイソンステイサムの顔を拝みに映画館に行ったことになる。しかも、『ビーキーパー』の脚本家は『エクスペンダブルズ:ニューブラッド』と同じカート・ウィマー。なんてこった!たしかに見てる途中で「このカンジなんか知ってるなあ」とは思ったけども!

二年連続正月ステイサムだったけど、べつにステイサムがそれほど好きだったというわけではない。でも、だんだん愛着もわいてきた。ステイサムが愛される理由は僕が思うに、サイズ感がちょうどいいところにあると思う。スタローンやシュワルツェネッガーのように不死身のサイボーグでもなく、ドウェイン・ジョンソンやマ・ドンソクのように歩くだけですべてを吹っ飛ばしていくようなブルドーザーでもない、適度なマッチョ。

今回のステイサムは銃火器を基本使わず、全編スタイリッシュな格闘アクションを堪能できる。俊敏な身のこなしから繰り出されるパンチも強力だが、投げ技も見ごたえがあった。特に印象的だったのは終盤の廊下での戦闘。ナイフを突きつけられる力比べから壁に足を付けて登り上下反転して脱出し、そのまま腕をひねりあげて投げる。まさに現代的な格闘を見ているカンジがして大変興奮した。

アクションだけでなくストーリーもかなり楽しんだ。ストーリーといってもステイサムが無双して悪いやつをぶっ倒すだけなんだけど、そういうジャンルの映画としてレベルの高いものだった。『エクスペンダブルズ:ニューブラッド』の間抜けなストーリーはなんだったのか。とはいえ頭の悪さでいえば『ビーキーパー』も負けてないのだが、今回はその頭の悪さがちゃんと映画をおもしろくしていた。ほとんどどの場面もおもしろくてなんども爆笑しながら見てたのだけど、いくつか挙げてみると、

  • ステイサムが養蜂家だから『ビーキーパー』なのかとおもったら、国家という群れをシステムの外側から管理するための〈ビーキーパー〉という秘密プログラムが存在し、ステイサムはその一員だったという謎の世界観。
  • ステイサムが殴り込む詐欺師集団のコールセンターの様子がウルフオブウォールストリート。二か所のコールセンターを襲うのだがどちらもなぜかゲーミングな光に照らされている。ゲーミングウルフオブウォールストリート。
  • 詐欺会社を追い詰めていると思ったら、最後は大統領まで行きついてしまうエスカレーションするストーリー。一人の男がその肉体一つでアメリカ政府と渡り合うとか刃牙とかタフの世界観だろ。

『ビーキーパー』は頭を空っぽにしてみるべきバカ映画なのだけど、ジャンル映画として無駄をそぎ落とした結果、ヒーローはいかにして可能なのかについて示唆的な内容になっているように思う。つまり、ヒーローは体制の外側にいなくてはいけない。しかし、ヒーローは体制の破壊者ではない。この、どっちつかずというか、体制の中の反体制のような存在でなければ、ヒーローは不可能なのではないかとボクは常々考えている。例えばダーティハリーのハリー・キャラハン。相棒の特命係。パトレイバーの特車二課。彼らは警察という体制側の人間でありながら、その中では外れた人間として端のほうに追いやられている。そういうものであればこそ、弱きを助け強きを挫くような正義の味方になれるのではないだろうか。まあまじめに仕事してるだけのFBI職員やシークレットサービスの人もけっこうひどい目にあってた気がするのはかわいそうだと思ったけどね(^^;)