最近読んだ漫画『親父の愛人と暮らす俺③』『パパのセクシードール①』:父親が出てくると漫画が終わる?

『親父の愛人と暮らす俺③』玉置勉強
『パパのセクシードール①』梶川岳
 
なぜか父親の愛人漫画を2つも読んだので、感想。
 
すみません、『親父の愛人と暮らす俺』は最終巻の3巻しか読んでないです。古本屋に3巻しか置いてなかったからです。
不登校の男子高校生・太郎は父親の愛人の智奈子と二人暮らし。智奈子も働いていないので、無職二人の同居漫画でたいへんいいかんじがする。

3巻は太郎と智奈子とセックスしそうになるという物語も佳境からスタート。なんでそうなったのかは知らぬ。しかし家に準備がないことに気づいた智奈子はドラッグストアに行ってビッグサイズを買ってくるも、帰途で冷静になり捨てて戻ってくる。
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なんかよくわかんないけど焦ってる智奈子さんが可愛かった。
玉置勉強は『東京赤ずきん』しか読んだことないけど、そちらは全体的にテンション高めのダークで狂ったキャラ造形だったと思うのだが、最近の玉置勉強先生の絵はふつうの人間でありつつ、裏に暗さをたたえた感じがあっていいと思う。
 
さて、ニートをやめ智奈子と二人で働いて生きていくことを決意した太郎は父親との対決へ。
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なんとなくなんだけど、父親が出てくると漫画が終わる法則がある気がする。『親父の愛人〜』では、太郎も智奈子も太郎の父親のお金で生活できている。父親がモラトリアムを可能にし、父親を倒すことでモラトリアムが終了する(=人生=現実が始まる)。
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『親父の愛人と暮らす俺』では父親の愛人エッチできなかったが、『パパのセクシードール』
ではけっこうする。
 
『パパのセクシードール』は百合漫画といっていい。それも三角関係の百合。
母親を喪い父子家庭で育った少女・リオナ。父親はメイドロボット”フォルティ”を買ってくるが、時間通りに起こしてくれないし料理もろくにできないし教科書のかわりにエロ本をカバンにいれようとするポンコツだった。それもそのはず、フォルティの正体はセクサロイド(セックスドール)だったのだ。一方で中学校の女子たちの間では「恋人ごっこ」が流行っており(←?)、リオナも同級生のカリンと恋人ごっこをしていた。しかしリオナはカリンを「ごっこ」以上に想っており、それ以上の関係に踏み込もうとした(おっぱいを触ろうとした)リオナは拒否されてしまう。
『パパのセクシードール』の世界では、人型のロボットは昔は作られていたが今は珍しいらしい。ロボットに入れ込みすぎる「変な人たち」が出てきて問題になったからだ。
カリンに拒否されたリオナはその夜、フィオナに「奉仕」を要求。「変態」への道に足を踏み入れる……。
 
フォルティのデザインがおもしろい。フォルティはセックスドールとして作られたので主要な部分は人間と変わらない見た目と形なのだが腕や足などはいかにもメカっぽい部分も多い。別に全身人間っぽくしてもいいだろうに、父親の趣味なのだろうか。リオナが膝枕をしてもらっているときに太ももは柔らかいけど膝下はかたいという触感を語っていておもしろかった。
 
フォルティ、メイドロボとしてはポンコツだが、「人間らしい言動」に関しては他のAIよりも高性能っぽい。学校に居場所がなくなったリオナのメンタルケアもできる。これはたんにフォルティが高価だからなのかそれともセックスドールだからなのかはちょっとわからないが、セックスドールにこそコミュニケーション能力と相手の感情を読み取る能力があるのかもしれない。
フォルティはリオナとパパのお世話をしているだけではなく、近所の独り身のおばあさんの話し相手にもなっている。ディスコミュニケーションを解消するのが、セックスドールなのだ。
 
さて、『パパのセクシードール』、こんなタイトルだがパパのセクシードールがパパのセクシードールとして機能しているシーンは第一話しかない。それどころかパパはそれ以降登場しない。やはり『パパのセクシードール』も最後は父親と対決することになるのだろうか。なるんだろうな……。